令和時代の到来です.これからの時代,私たちは当たり前のように5Gの⾼速・⼤容量通信インフラの中で,AIによる知的サポートソフトを搭載した,つながるモノ・ハードの恩恵を享受し,新たな価値観を持つようにもなっていくでしょう.そして先進技術と他の技術を接合し,社会課題に対して新しい価値を提案していく企業が次々と⽣まれ,産業構造や勢⼒図を塗り替えていくに違いありません.これは⽇本の技術系企業が新たな不確実性の⾼い競争社会に突⼊することも意味するといえます.
第15回PICMET Japan Vision Meetingでは,このような「情報通信インフラ」,「ソフト」,「ハードネットワーク」における技術⾰新がもたらす潜在事業機会を象徴するxTech(クロステック)について「⽇本の技術系企業が躍進していくためのポイントは何か?」をイノベーション戦略の視点から考えたいと思います.
⼀般に,技術経営の教科書レベルでは,イノベーションに向けて企業は⾃ら有している知識に対する理解・改良を進める「知の深化」と,新たな知を探索し事業機会を⾒出していく「知の探索」を両利きで経営していく必要があるといわれています.しかしながら,この新たな時代においては今⼀度⽴ち⽌まって次のことを検討する必要があるのではないでしょうか.
どのような知を両利きの対象にする必要があるのか?
知識といっても,技術知,市場知,境界知(異なる知識領域を接合する知),事業構想知(研究開発と実⽤を貫く知),未来知(どこまでの未来を志向するか)など,検討すべき対象と組み合わせは多岐にわたり,戦略的視点が必要です.
スピード感を持ったまま,どう両利きにしていくのか?
競争優位のライフサイクルが短期化する中,単⼀企業でできることは限られ,その分,知識の探索・深化に効果的な⼈材教育・獲得の⽅法や,組織間協同や技術コミュニティの活⽤が必要です.
得られた知を事業化するモデルは何か?
投資規模に⾒合う事業化を⽬指すモデルを継続するのか,あるいは新しい考え⽅で,スピード・⼿数を重視した事業化モデルを追求するのか,知の探索・深化と事業化戦略の新しいモデルを考える必要があります.
上記問いを基盤に,当⽇は企業実務,研究の第⼀線で活躍している⽅をお招きして御講演頂き,参加者と共に議論を深めていきたいと思います.ご参加の皆さんが,それぞれのお仕事,ご研究の⽴場から議論に参加いただき,半歩先の技術経営として考えていく必要のある視点について共有できればと考えております.奮ってご参加のほど宜しくお願い致します.
2019年6月29日(土)@東京大学
13:20-14:10
松岡 良和(NTTデータ経営研究所)
5G時代到来で期待できる新たなビジネスシーンと実現に向けての課題
14:20-15:10
奥村 純・山川 要一(DeNA)
AI技術の深化と事業価値創出の両立の実践
15:20-16:10
内平 直志 (北陸先端科学技術大学院大学)
日本の技術系企業のとるべき戦略的IoT視点